よしもとばななさんの小説
よしもとばななさんの書籍はキッチンやTSUGUMIは勿論のこと、毎年刊行されていた日記集など、隅から隅まで学生時代に熱心に読んでいました。高校の国語の先生がよしもとばななさんの小説をとても熱を込めてオススメしていらっしゃった記憶が懐かしいです。
王国という小説は作家名「吉本ばなな」から「よしもとばなな」に改名された後の第一作目で、僕は今でも読み返すことの多い大好きな小説です。(ちなみに2015年に再度「吉本ばなな」へ再改名されたそうです。)
占い師が登場する小説
楓(かえで)という名前の、眼のあまり見えない代わりに霊視の能力を持つ占い師。
1巻では主人公の雫石(しずくいし)が祖母との生活から離れ、楓のもとで働くようになり、占い師の側らで働く生活が瑞々しく描かれています。
僕はこの1巻が好きで、特に読み返すことが多いです。占い師・楓の生活がとても魅力的で、ひっそりと静かながらも魔法のような能力で人々を救う姿を素敵に思い、憧れました。
また、主人公の雫石も祖母から受け継いだお茶の技術と植物(サボテン)を通じて、癒しのチカラを持つ少し特殊な人物です。僕は植物も好きなので、小説内で植物園が登場したりするなど、僕は好きな系統の世界が目白押しなのです。何度この小説の世界に入りたいと思ったかわかりません。
少し風変わりな世界の人達のための優しい物語
よしもとばななさんの文章構造は、『少し風変わりな人達の物語・大切なことを真摯に探し続ける登場人物たち・大きな喪失からの回復』が骨組みとしてあると僕は考えていて、いつもその文体にたくさんの人の心が助けられているのだと思います。
同じように僕もこの社会の中で生きづらいと感じることもあり、(抽象的ではあるけれども)自分が持つ一般的ではない感覚に、他人との距離や拭うことの出来ない違和感と喪失感を感じることがあります。
よしもとばななさんの小説では、そのようなメインストリームに馴染めない人達の悲しみや寂しさを救い上げるような優しさが宿っているようにいつも感じます。
あまり王国という小説の中身には触れませんでしたが、僕はよしもとばななさんの小説のように、世界の隅っこで魔法のようなチカラを日々磨きながら生きていくことが出来ればいいな、といつも思いながら占いをしております。
そして疲れたときはいつも、よしもとばななさんの小説を読んで、傷を癒やして頂いています。
どうかあなたにもこの世界で居心地の好い、傷を癒せるヒミツの場所が見つかりますように。^^