占いの言葉の中には時折、
"戒め"としての機能が含まれている。
占い師としては、
この"戒め"の匙加減を非常に難しく感じることが多い。
正直に打ち明けると、
ほとんどと言って良いほど、
"戒め"の意味合いを言葉に預けることはない。
この難解な研究課題について、
一生きっと頭を悩ますのだと思う。
ひと昔前、
"戒め"は容易に機能したのだろう。
結婚が家同士を結び付ける儀式であった時代に、
受動的な二人を強制的に結びつける為には数々の"戒め"が機能する。
右肩上がりの大量消費・大量生産時代に、
大人しく司令を遂行する社員を動かす為に機能していた"戒め"のように。
人々をその場に足止めする言葉は、きっと錨のように、
そこかしこのコンクリートの海底に投げられていたのだろう。
しかし今は時代が違う。
結婚は自由恋愛の時代に、
仕事は上司が明確な道を指し示してくれるものではなくなった。
そんな時に果たして、
"戒め"の言葉たちがどのように機能するのだろうか。
自ら進んでいかなければいけない時に、
足止めになりかねない言葉を渡して良いものだろうか。
しかしながら、その"戒め"の言葉たちは、
目的地までの危険な箇所を照らしてくれるかもしれない。
そんな葛藤を抱えながら、
言葉を慎重に選んでいく。
「何か気をつけた方が良いことってありますか…?」
占い師を仕事にしていると、
時折この質問をいただくことがある。
その度に現代における"戒め"の機能について、
頭を巡らせるのだ。