デワさんの運転 - 「神頼み」と「人間の規律」の狭間
空港からムンジャンガン(西部国立公園方面)への移動には、
4時間以上のロングドライブが必要で、しかし、
カーチャーターの運転手「デワさん」は、
日本の道路には存在出来ないレベルの「飛ばし屋」だった。
もしバリで死ぬことがあったとしたら、
強盗でも病気でも食中毒でもなく、
きっと交通事故死だろうなと感じるほど、
デワさんの運転は軽快に、スレスレで前方車を追い抜いていく。
バリの道路には、日本製の車やバイクがたくさん、縦横無尽に走っている。
きっと日本の道路よりも、日本製の車やバイクの乗車比率は高いと思う。
見慣れたメーカーの車が走っていると、少し安心する。
バイクの数が圧倒的に多く、
バリの人は一家に一台ではなく、一人一台。
たくさんのバイクが、車や細道の隙間を縫って、走っていく。
バリ島の交通が日本と圧倒的に違うところは、
信号が少ないこと、
交通ルールが緩いこと。
バリの人たちが運転している様子を見ていると、
各々の頭の中に「信号や交通ルール」があり、
その差異がクラクションとなって発せられている気がした。
動物的。
カーレースのようで、少し楽しそう。
でもやはり、怖い。
バリの人は乗車前に必ず、車の中にお供えをする。
今日も事故に遭わないように、神様にお願いするのだ。
それでも、
バリの人口に対する交通事故死者数の割合は、日本の約3倍らしい。
(デンパサール日本国総領事館情報)
日本の規律正しさに対して、窮屈に感じることはあるけれど、
安全面については日本で生活していて良かったと思う。
でも一方で、
皮膚一枚感覚で運転する豪快さにも憧れる。
「神頼み」と「人間の規律」の狭間で思ったこと。